花坂埖だった人

数年前に花坂埖という人にネット経由で知り合った。

詳しくはリンクを参考にしていただきたい。

menhera.jp

 

機能不全家族の中で育ち、不登校と引きこもり期間が長かったために、

生まれもった発達障害と折り合いがつかず、

問題に適切に対処して生きる術を持たなかった彼女は、

出会った当時、非常に未熟な人間だったように記憶している。

彼女は間違いなく鬱と甘えが酷い厄介なメンヘラだった。

それでも彼女と友人関係を続けてきたのは、

彼女が邪悪な人間ではなかったからだ。

なにより、彼女は他人を傷つけることに対して開き直れるほど

計算高くなれない大変善良な人間だった。

 

よく言う「悪い人ではない」という免罪符を振りかざす、見苦しい人間が多い中で、

彼女は持ち合わせた免罪符をうまく活用することさえできない不器用な人間だった。

社会というものはルールさえ理解してしまえば存外に甘くて、

媚びてかわいそうな顔をして謝っていれば、

だいたいのことはなんとなく許してもらえるものだ。

そこを、相手の怒りを鎮めるためのポイントを徹底的に外し、

煽って燃料を投下してボヤを大火事にするのが彼女だった。

 

花坂埖という人はもう存在しない。

ある時、私と彼女の中の人が、葬り去ろうと決めたのだ。

過去や障害や病気やトラウマを言い訳にして

傷をなめ合ったり見返すための人間関係を築くのをやめて、

所々の問題を自分の物として受け入れて未来の自分を生きやすくするために、

花坂埖という人の葬儀を行った。

 

4月から、花坂埖の中の人は専門学校に入学した。

クラスの男子がグループワークをこなしてくれないとか、

一緒に過ごす女の子の恋バナ(?)だとか、

そんなよくある学校生活の悩みに生まれて初めて向き合っている。

つまり、健常者の輪の中で健常者と問題なく人間関係を構築しているのだ。

彼女は甘えて逃げることをせずに、社会で生きることを選択した。

 

これからも辛いことやうまくいかないことがたくさんあると思う。

そのたびに自分の障害や家庭環境に責任を押し付けたくなるだろう。

自信が持てず、間違った方向に努力して、自分で自分の首を締めることは今でも多々ある。

そんなことはわかりきっているのだが、

それでも私は彼女をこれからも応援するのだと思う。

前を向いて進もうと決めた彼女を私は尊敬している。

 

2度も誕生日を祝うことになるなんて考えてもいなかったよ。

2年間よく頑張ってきたね。

新しい一年はこのまま進んでいけば大丈夫だと思います。

 

誕生日おめでとう。